★受講生が発信する山村教室の紹介ブログです★
「高野真理子の扉を開けて―第5回 いろはにほへど」

 通勤途中で桜を視界にとらえる。
お花見の予定をたてる暇もなく、既に満開の時は過ぎ、桜吹雪が道路へと降り注ぐ。
四月になってからというものの、残業続きで、そろそろ体力も限界だった。
会社でパソコンに向かい過ぎているせいか、帰宅してからパソコンを立ち上げても、メールチェックが精一杯だった。
今夜も残業をしていたけれど、二度ほどケアレスミスをしたので、今日はここまでと帰宅することにした。
歩きながら明日の仕事の優先順位を考えていると、赤信号に足止めされる。
夜風が首筋を吹き抜け、薄手のコートを少し後悔をした。
「完全にスタミナ切れだわ……」
思わず心の声が出てしまった。
せめて天に向かって、大きくため息をついてやろうと、空を見上げた。
するとそこには、夜空に大きく枝を伸ばす銀杏の木が、静かに自分をのぞきこんでいた。


こんばんは! 高野真理子です。
最近は毎日残業三昧なので、ご挨拶も「こんばんは」にしてみました(笑)。
皆さんの忙しい時期はいつ頃ですか?
高野は今が一番忙しい時期です。
この前お正月だと思ったら桜が咲き、もう散り始めています(笑)。
気付けば春が来ていました!
皆さんの周りでも、いろいろな「春」が始まっていることと思います。
 山村教室でも新年度が始まり、新しく入会する皆さんを迎える「いろは会」も、無事終了したようです。
半年に一度、新メンバーをお迎えするわけですが、数えてみると高野も今回で七回目の「いろは会」。
時間が経つのは本当に早いものです。
そんな中で、ふと考えたのです。
山村教室へ入会した方は、「いろは会」から始まります。
最初の一歩は同じだけれども、目指す作家への道のりは、皆さんそれぞれの進み方があります。
「一体、今その道のどこら辺にいるのだろう?」
結果が出ない時ほど、こんな事を考えたりします。
忙しさを理由に「物語」から離れてしまった時や、どんなに応募しても落選し続けた時など、「作家になった自分」から逆算したら、自分は今どこら辺にいるのだろうかと、せんないことを思うわけです。
皆さんにも、そんな時はありませんか?
もしかしたら、そんなことを考えているのは、高野だけかもしれませんね(笑)。
ともかく、そんな言い訳だらけの自分が嫌になり、ため息をつこうと空を見上げたら、そこに答えがあったんです。
夜空に大きな枝を広げた銀杏の木が、静かにそこに立っていました。
街路灯のはるか上へと枝を伸ばす銀杏には、びっしりと若葉がついていました。
ほんの数週間前までは、枝に葉など一つもついてもいなかったのに、いつの間にか、小さくてかわいい若葉で覆われていたのです。
やわらかな萌黄色の葉が、街路灯に照らされて夜空に浮かび上がり、桜とは違った春を街へ運んできていました。
それを見た瞬間、「あ、そっか」と、急に答えをもらった気がしました。
誰にでもスタミナ切れの時があります。
けれど、深く思い悩むことなどないのです。
不安や言い訳を、枯れ葉のようにぶるりとふるい落として、何もなくなった枝に、新たに希望を芽吹かせればいいのだと、銀杏に言われた気がしました。
見上げると、銀杏の若葉は冷たい夜風に吹かれながらも、「そうだ、そうだ」という風に、ふるりふるりと葉をふるわせていました。
 春は偉大です。
色々なことの「最初」の気持ちを思い出させる季節です。
皆さんの中にも、高野のようにマイナス感情にとらわれたことがある方はいらっしゃいませんか?
そんな時は、春に芽吹く若葉のように、「今年もまた頑張るぞ!」と、新しい芽をまた出せばいいんです!
答えは分かっています。
「山村教室不足かな……」
スタミナ切れの時こそ、山村教室で元気をもらえばいいのだと。
そして、今なら新しく入会された方々に会って、初心を思い出してみればいい。
小説家を目指す仲間がいる場所で、自分の心をのぞき込めばいい。
再びのぞき込んだ心の奥にある願いを、自分で大切にすればいいだけなのだと気付きました。
 信号が青に変わり、一歩足を踏み出しました。
夜空に浮かぶ若葉に別れを告げて、横断歩道を大股で渡りました。
ほんの数分前のしぼんでいた気持ちは、嘘のようにどこかへ消えていました。


その夜、久しぶりにメールチェック以外のことをしました。
短編のアイデアメモを、少しだけ書くことができたのです。
一文字、一文字入力していくうちに、アイデアを考えることに集中していきました。
そして、その波に乗って、このブログに取り掛かりました。
書くことは、やっぱり楽しかったです。


 高野は不調な時、山村教室へ行きたいと思います。
小説家になりたいと考えている人達が、そこに待っています。
それが、どんなに心強い事か、覚えていてほしいと願います。
新しく入会された方、また入会を考えていらっしゃる方、山村教室は、「心のよりどころ」でもあります。
山村教室との関わり合い方は人ぞれぞれですが、ぜひ教室へいらしてみませんか?
何か心に響くものが必ずあると、高野は信じています。


ただ、このブログを書きながら、作家への道のりを「いろは歌」に例えるならば、一体今どこらへんだろう? と、もう一度考えて、ネットで「いろは歌」を調べてしまったことは秘密です(笑)。
それでは、本日のところはこのへんで。
機会がありましたら、またお会いしましょう。