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おやおや、いつの間にやら4月ではないかぃ。

ほほう、4月ばかの日ですか、なるほど。

どうりでmixiにおける友人たちのウソ日記に騙されまくるわけだ。

ちくしょう。5月まぬけの日には報復してやる。(そんな日はありません)

 

ええっと、この一週間あたりのことをちょいちょい書いてみるか。

 

先月28日、山村教室に今野敏先生が特別ゲストとして来てくださった。

教室生の作品を5本講評してくださる。いいなぁ。

一応OB扱いなので、私はもう対象外なのだ。

講評されるの、大好きだったのに。

みんな「緊張する」とか「酷評されると落ち込む」とか言うのだけど、私は褒められたことしか覚えていないのでいっつも楽しかった。

「前向きだねぇ」と呆れられるけども、悪いところを直すよりいいところを伸ばすほうが手っ取り早いんだもん。

小説書いてるとだいたいつまづくところは一緒だから、悪いところは人の講評を聞いていたほうが客観的に納得できるしね。

脇道にそれたな。今野先生のお話。

先生独自の小説作法なんぞも、そんなこと教えていいんですか? というテクニックまで教えてくださった。

ありがとうございます。さっそく使わせてもらいます。

って、アッサリ盗めるものでもないんだけどね。使いこなす力量がなければ無理。

やっぱり自分で脳みそ汗だくつゆだくにして、苦労しなきゃならんのですね。

身が引き締まりました。頑張ります。

なにをお話してくださったかは、ナイショ。

どうしても知りたい方は、今月発売の「小説宝石5月号」に講評&講演風景が載るらしいのでそちらをチェックなさってください。

(べつに小説宝石からバックマージンを貰っているわけじゃないが、宣伝)

 

 

先日、小説の打ち合わせでS社にお邪魔した。

担当H氏と、ごあいさつだけは交わしたことのあった編集Tさん、それに私で会議室を二時間も占領する。

ほぼ世間話で、下ネタなんぞも交えながら大笑い。

楽しい時間ではあるのだが、そろそろ小説の話しなくてもいいのかな? とこちらが心配になってきた頃、

「で、さっきから坂井さんのお話伺ってたら、こうこうこういう話がいいんじゃないかと思うんだけど」

と、Tさん。

おおっ。ただ談笑していただけではなかったのか。

しかも、それって私の書きたいテーマじゃないですか。

編集者って、すごいんだなぁ、と思ったことである。

 

 

で、今日。

とある職業の人のブログを読みあさっていた。

その職業に関する愚痴や裏話が見つかったら儲けもん、と思って。

あるブログのプロフィール欄を読んでいたら、

「明日地球が滅亡するとしたら何がしたい?」

という質問に対しその人、

「人を殺しまくる」

と書いてあった。

もちろん会ったこともない相手だが、その人は職業柄きれいな女性であるあずだ。

でも中身は殺伐としてんのね。

ストレス溜まってんのか?

何があったか知らんが、友達になりたくないタイプなのだけは確かだ。

 

 

 

 

 

 

 

殺風景な我が家が今はお花がいっぱいで、一気に華やかである。う~ん、いい香りだなぁ。

某新聞にお店のHPのボンテージ写真をどーんと載せられてしまったので(あれにゃあ私もびっくりした。それに伝説の女王って誰のことだ??)、馴染みのM男性たちが花束片手に来てくれたの。ありがとうね。

 

そして昨日は山村教室の皆さんにもいただきました。

ちょうど塾長講演で森村先生もいらっしゃる日だったので、だったらついでに坂井の祝賀会もやってやろう、ということになったらしい。

一緒に小説をコツコツ書いてきて、時に泣いたり愚痴ったりしてきた教室の仲間(と、勝手に思っている)たち。

創作の苦しみや喜び、日の目を見るかどうかも分からない原稿をそれでも書き続けるやるせなさ、テキスト原稿や公募締め切り後の寝不足、そういったものを分かち合ってきた同士だ。

それだけに彼らが言ってくれる「おめでとう」は心にしみて、「本当にこの教室に入ってよかった。みんなに会えてよかった」と叫んでしまった。

ありがとう、ものすっごく強いパワーをくれて。

ありがとう、お花と心のこもったプレゼント。

ありがとう、いっぱい、いっぱいのハグ。そしてたまに、押し売り的なハグ(笑)

 

でもここは、プロを目指している人がほとんどの教室。

まるで自分のことのように喜んでくれながらも、きっと「悔しい」とか「見てろよ。追い抜いてやるから」って、内心闘志を燃やしていたことだろう。

だって、私が逆の立場ならそうだもん。涙が出るくらい嬉しいだろうけど、歯がみするほど悔しいに違いない。

だから「次は私が新人賞取ってやる!」って、皆思ってるんだろうな。

もしかすると近いうちにまた誰かの祝賀会ができるかも、と思わせる、いい盛り上がりだったもの。

 

私も、もっともっと頑張らなきゃ。気づいたら皆に追い越されていてビリになっているかもしれない。

しかもランニングマシーンの上を走っているのと同じで、失速したり立ち止まったりすれば瞬く間にコースアウトだ。

恐ろしく鈍足な私にできるかしら。いや、できるできないじゃない。やるのだ!

昨日の皆の祝福に報いるためにも、絶対に追い抜かせないよ。

それが私からの「ありがとう」なのだ。

 

このブログを読んでいる教室生の方から、「もうたまごじゃなくってひよこだね」と言ってもらったけれど、とんでもない。

まだまだ「たまご」です。

「坂井希久子」という名前を冠した本が出るまでは、私は「作家」とは言えないのだもの。

そのあかつきにはこのブログのタイトルも変えるつもり。それまでここは「たまごのひび」。

でも「ひび」は確実に、大きくなったよねっ!

先日の日記でもちと触れた森村誠一文芸展のことを「ブログに書いてくれないか」と、森村御大じきじきに依頼されましたので、ここで書かねば女がすたる、改めて書かせていただきます。
な、なんか緊張するな……。

4月30日から、町田の小田急百貨店8Fにて催されていた森村誠一文芸展も、昨日大盛況のうちに終わったようです。
私と山村教室有志20名が大集合したのは、森村誠一サイン会のあった初日。
先生が長蛇の列を前にひたすらサインペンを走らせている間、我々はゆっくりと展示物を拝見しました。

若かりし日の、まるで役者さんのようにオットコマエな先生のお写真や、直筆生原稿を製本したもの、創作ノート、松本清張、横溝正史による解説の生原稿などなど、食い入るように見つめてしまう。
我々のようなタマゴのために、創作ノートはもっと広げて置いてほしかったなぁ。
平身低頭してお願いしたら、読ませてくれないかしらん、先生。
創作ノートは、作家の混沌とした頭の中を整理するためのものだと私は思っておる。だから人に見せるのはけっこう恥ずかしいものなのだ、少なくとも私は!
でも見たい、見たい、見たい〜っ。
ダメもとでお願いしてみよっと♪
一冊だけ開いて置いてあったノートには、登場人物の相関図が書かれてあった。
あ、こういうの私も書く、と思って意味もなく嬉しくなったことである。

「しかし、生原稿っていうと重みがあっていいよね。我々の世代になると、○○さんの使っていたハードディスクとか、使い込みすぎてアルファベットの表記がはげたキーボードとか、そういうのが展示されるんだろうか」
などと言って教室生と笑い合っていたのだが、何でもかんでもデータにしてしまう昨今、確かに展示しても味気ないものしかないよね。
森村先生愛用のガラスのペン先も、使用済みのものがビンに詰められて残されていた。今までにいくつのペン先を潰してきたのだろうと思うと、まこと味わい深い。

私もなんだか気分が乗らない時や詰まった時は、原稿用紙にまず手書きして、それをパソコンに打ち直している。
データにしちゃったら用済みと、原稿用紙は全て捨ててきたけども、これからは大事に取っておこうっと。メモとかアイデア帳とかも全部。
いつかそいつらが、こういうふうにガラスケースの中に飾られんとも限らない。
などと、大それた決意をしてみる。

サイン会はなかなか人が途切れず、一時間の予定が三十分押しての終了。
近頃、作家のサイン会にはなかなか人が集まらないという。
確かに、「これからサイン会があります」と呼び込みをしている書店員を見たことがある。
そんな中、100人もの人間を集めてしまう先生。かくもファンに愛される作家に、私もなりたひ……。
ファンだけではなく、「町田市の作家」として、市全体が先生をバックアップしている。もうほとんど重要文化財級なのだなぁ。

サイン会の後は先日も書いたとおり、会場裏手の喫茶店で編集者20名との懇親会。
「今はどの出版社も新しい才能を発掘しようと力を注いでいる。この先採算が取れなくて路線変更するかもしれないけども、少なくとも当分はこの姿勢でしょう。だから皆さんにとっては、今はチャンスの時期なんです」
と、編集者Nさんは言ってくださった。

確かに、今ほど多くの新人賞が軒をそろえる時代もなかろう。だからもしかするとまぐれ当たりで受賞はできるかもしれない。
でも、受賞してからが大変に違いない。その年だけでも新人賞受賞者がウヨウヨいるわけなのだから。
やっぱ厳しいですよぅ!

編集者Hさん、「新人賞の応募作を見ていると、梗概に力が入っていない。梗概と、前半5ページの力は大事です」
あの……先日出した応募原稿の梗概、「3枚程度」のところを力入りすぎて4枚半になり、「そのぐらいなら『3枚程度』の範疇!」と決め付けて出しちゃったんですけど……。やっぱり、3枚ちょっとくらいに収めるべきだったのでしょうか。

「本当にこれを書きたくて書いているのか、という作品がある。これが書きたかったんだ! というものを出してほしい」
との編集者Tさんのお言葉に、
「えっ、書きたくないものを書いてることなんてあるんですか!」
とびっくりしていたのはこの4月に教室に入ったばかりのOさん。むしろその驚きが新鮮だった。
長く書くようになってくると、「う〜ん、どうしよう。この路線はダメって言われたしなぁ。前にいいトコまでいったコイツの路線で書くべきかなぁ」などと、つまらぬウケ狙いをしてしまうことがある。その結果、失敗する。そして本当に書きたかったものを見失う。
たとえ「お前の作品など、便所紙以下だ。下水に流れ去ってしまうがいい」と言われたとしても、己を突きつめていかにゃならんのだ。
教室に入ってきた新しい風に、感謝。

もちろん、いつも学ぶことの多い時間を設けてくださる先生には大、大、大感謝である。言葉で言い尽くせるものでも、物で表せるものでもない。
最大のご恩返しは、もちろんデビューすること。そして人気作家になること。いずれ森村誠一を追い抜くこと!
その日までは、口で「今日はありがとうございました」と腰を折る度、こんなことで先生に報いられるものか! と虚しくなるばかり。
作家として世に出たときこそ、本当の「ありがとうございます」が言えると思っている。
そしていつか、先生の文庫の解説書きます!! 

その日お会いした編集者さんの何人かは、「山村教室の熱気はすごい」と言ってくださった。
でもね、でもね、内に秘めたものはこんなもんじゃないんだよ。
二次会ではいっつも下ネタで笑ってるけどね、ドロドロした、熱くて暗くて生臭いものを、皆抱えてる。
今はまだ腹の底でブスブス言ってるだけだけど、いつか表面に流れ出て読む人の心まで侵せるようになるだろう。
だからその時は、よろしくお願いします!

さて、今日から五月に突入してしまいました。
一年の三分の一が、早くも経過……。
あの、本当に早くないですか? 三十路になるとそういうものですか?
恐ろしい……。時間を大切にせねばいかんですね。

先月は我らが山村教室塾長、森村誠一先生に触れ合う機会がたいそう多くありました。

まず4月12日は教室の開校式&編集者座談会に来てくださり。

19日は教室有志で先生宅を訪問し、昼過ぎから夜8時過ぎまで輪になって語らう。

そして昨日、30日。
町田の小田急百貨店にて開催中の森村誠一文芸展で、先生のサイン会があり、その後各社編集者さん(その数、二十人以上!)と教室生二十名で喫茶店を貸切にしての懇親会を設けてくださったのだ!

☆☆文芸展に興味のある方は先生のHPをチェック!
最終日の5月3日にも、サイン会があります!☆☆

いくら塾長とはいえ、多忙な大作家がここまでしてくれるとは。
どんなに感謝しても感謝しきれません。
ありがとうございます!

森村誠一という作家からは学ぶものが多すぎて、私の小さなキャパには入りきらないほどである。
作家としての姿勢、情熱、情念、なにもかもが図抜けているのだ。

先生にお会いした後は、ものすごい充足感と共にかすかな疲労がたまる。
「私から学べるものはうんと吸収しなさい。その代わり私も、山村教室からはものすごい刺激をもらっているんです」
と、仰る先生。
この疲労はもしや、吸い取られているものの方が大きいからではないか?? と、思ってしまう。
あれほどアグレッシブな人だもの、吸い取り方も半端なかろう。
ああ、私もダイソンの掃除機なみの吸引力を持たねば! 
ブォーブォーと吸い取りまくって、いつか先生を乗り越えるぞ!(OH! Big mouth!!)

昨日の編集者との懇親会、教室とも縁の深いS社のIさんの、
「山村教室はサロンではないのだから」
というひとことがズンときた。
教室の在籍も長くなってきて、幹事なんちゅう身の丈に合わないお仕事までさせてもらっている。
その気はなくとも、教室が近頃自分の中でサロン化してはいなかったか、と自問。

確かに居心地はいい。著名な作家に会う機会も多く、ちょっと気分もいい。こういうふうに、出版関係者ともお近づきになれる。
いやいや、でもそれで満足している人なんて、うちの教室には誰一人いなかろう。
そんなぬるま湯的なものなら、早いこと解散してしまった方がよっぽどいい。
やはり、出たい。なにがなんでも世に出たい!!
そのための足がかり。
いずれ、昨日いただいた編集者さんの名刺を活躍させるのだ!!

「作家とは情熱だ。それを失ったなら、さっさと見切りをつけて他の仕事をした方がいい」
とは、先生のお言葉。
たまにくじけそうになる情熱だけど、それでもぶすぶすくすぶって、気づくとまた業火になっている。
その火ですべてを舐めつくしてやる。

先週土曜の山村教室は、塾長の森村誠一先生と、各社の編集者五名をお呼びしての、座談会でありました。

そして、私がその会の担当幹事。
あまりに拙い司会であったので、早々に編集者Iさんにマイクをぶん投げ、進行していただきました。
いやはや、編集者の皆さま、教室生の皆さま、こんな超テキトー女でどーもすいません。

編集者の方々にも本音をぶっちゃけていただけて、とってもためになったことであるよ。
でも私は知っている。二次会でアルコールが加わると、もっとぶっちゃけモードになってくれることを。
一次会で帰ってしまった皆さん、ちょっぴり損してるぜ☆

座談会では受講生からの質問を私がまとめてプリントにし、それに答えてもらうというのをやったのだが、森村先生からお叱りを受けてしまった。
「ミステリーにおける今後の傾向と対策、なんて言われたって答えようがないだろう」
た、たしかに……。

自分らしいもの。いや、自分にしか書けないもの、でしか勝負できないんだもんね。傾向も対策もありゃしない。
むしろ「日本のミステリーは私が変えてやる!」くらいの気概がなきゃいけんわ。
お叱りありがとうございました、先生!

よし、日本のエンタメは私が背負って立つゾ!!

……その前に早くデビューしよぉ〜っと。

坂井希久子

2008年オール讀物新人賞受賞。小説家の端くれのそのまた端くれ。
翼広げて大空にはばたくぞ! と言いつつ、まだたまごには「ひび」くらいしか入っておりません。
それでも、小説が好き。あと、着物も好き。
どちらも奥が深いことでございます。
死ぬまでには、真髄にちょこっとばかし触れたいな。

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