「相談があるんや。お願い、今夜は俺に付き合ってくれ」
お願いと頭まで下げるものだから、ついつい友人の相談事とやらに乗ってしまった。
恋人とのことについてらしい。そしてその恋人も目の前にいた。
三人で飲んでたのだけど、ここじゃ何だからと友人の家に移動。すでにその時点で終電はない。
そしてその内容というのが――。

ここから先は若干性に絡むお話になるので、健やかな青少年や下ネタが苦手な方はご遠慮ください。

で、友人が言うことにゃ、
「最近、彼女とのセックスじゃイかないんや。オナニーやったら大丈夫なんやけどな」
彼女とは付き合って半年、今までの彼の女グセの悪さから考えると奇跡的に長い。
「他の子とやったら多分な、イけると思うねん」
隣で彼女が涙ぐんでいる。でも一生懸命我慢している。健気で可愛い子だ。
「ぶっちゃけ、浮気したいねん。ソープ行こうかとも思ったんやけど、俺ああいうのダメやし。彼女のこと好きやし、イけないってことで別れるようになるの、嫌やしな。治療ってことで、許されへんかなぁ」

ほうほう、そりゃアンタの方便だわ。
治療なんて都合のいい言葉使ってんじゃないよ。本当に治療したいんだったら、そして好きなんだったら、他の女とじゃなくて彼女とじっくり試行錯誤しやがれ。
新しい未知な女で興奮するのは当たり前。
アンタ、そんなことじゃいつまでも男として成長しないぜ。

なんてなことをごちゃごちゃと言うておったのだが、途中で友人が開き直って壊れた。
「分かった、とにかく俺はイきたいだけやねん。てゆうか、今イきたいねん。オナニーしてええか」
デッキにアダルトのDVDを差し込む彼。
彼女と私のいる前でまさか本当にできないだろうと思って傍観していると、本当にやりだした。
でもまさかイけないだろうと見ていると、ここでイけなきゃ男じゃねぇ、だの何だの叫びながら本当に昇天した。

よし、この状況でイけるなんて、俺はやっぱりただモンやない!
とガッツポーズを作る友人。
私もさすがに、友達の自慰を見たのは初めてで呆れるやら感心するやら。
馬鹿なんだけど、大馬鹿なんだけど、むしろ変態なんだけど、なぜかどうも私はこの友人が好きらしい。
しかしまぁ、昔は「浮気」なんていう概念すらないほど女にだらしない男だったのだから、少しは成長したということなのだろうか。人に自慰を見せ付けるようなヤツであっても。

それにしても、普通の設定で普通の人たちの話を書いてみなさい、と山村教室講師の山口先生に言われたばかりであるが、私生活での友人ですら、こうである。
普通の人はやっぱり、人前で自慰するようなヤツじゃない……よねぇ。

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それは貴重な体験&貴重な友人だよ!
そうそう、出会える人物じゃない(笑)

先日、へタレな記事を載せた私がいう言葉じゃないけれど、すべて小説の肥やしにしちゃいやしょう★

追伸:
そそ、書き忘れましたが
ちょくちょく遊びにきたいのでリンク持ち帰らせていただきます。
不都合な点がありましたらご連絡くださいませ。

>染谷水音さん
うん、貴重なんですよねぇ、本当に。
自分自身がうんざりするほどまともな人間なもので、余計に尊敬すらしてしまいますよ。
いつか、ネタにしてやろうと思ってるんですが何せプロのミュージシャンだからそのまま書いちゃだめだろな…。
リンク、ありがとうございます。私も貼らせていただきました♪

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坂井希久子

2008年オール讀物新人賞受賞。小説家の端くれのそのまた端くれ。
翼広げて大空にはばたくぞ! と言いつつ、まだたまごには「ひび」くらいしか入っておりません。
それでも、小説が好き。あと、着物も好き。
どちらも奥が深いことでございます。
死ぬまでには、真髄にちょこっとばかし触れたいな。

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