1月も半ば、東京も冷え込みがいちだんと厳しくなりました。
自宅が仕事場のわたしは、必然的におウチ引きこもり度が高いのですが、寒さが家内生活に拍車をかけます。

気温の低さとは裏腹に、午前11時過ぎの太陽の光はたいそう明るく、キラキラと部屋の奥まで差し込んできました。
と、もう何年も(!!!)目をつぶりながらも気になって気になって気になってしようがなかったことが、ぶぉぉぉーんと立ち上がってきたのでした。

ダイニングテーブルの天板の傷み──。
表面のワックスはもちろん、塗料まで剥げてしまい、何ともわびしい感じになっておるのですよ。
こんなになるまで放っておいてごめんね、と優しくなでなでし、よぉし!と手袋を二重にはめ、用具箱の底からアンティークファニチャー用ワックスを取り出しました(写真)。数年ぶりのことで、まあ缶のふたがガッツリひっついて開かないこと開かないこと! 冷凍用包丁を溝に差し込みやっとのことで開けたのでした。ワックスは変質もなく柔らかく、使用可能でよかったよかった。

このダイニングテーブルは、いまから21年前に購入しました。
それよりずっと以前から、わたしは古道具、アンティーク家具といったものが好きで、というより体の芯がうずくほど大好きでたまりませんでした。ちょっとビョーキ的に。ホント、胸がきゅんとしてしまうんですね、古いものに触れると。
あのころは、ライターだけでは稼げないので、下北沢の古道具屋で嬉々としてアルバイトをしていました。オーナーのイギリスへのアンティーク雑貨の買い付けにもくっついて行ったほどの熱の入れようでした。

当時はアパート暮らしでしたが、和室を二部屋ぶち抜いた中央に丸いちゃぶ台をおいていました。壁際には籐のベンチと楕円のティーテーブルを据え、そこは、まだ幼かった息子の読書やお絵かきの場所でした。ちゃぶ台もベンチもティーテーブルもすべて古道具です。

少しずつお金を貯めて、念願だったダイニングテーブルを買ったのが21年前。
1930年代のイギリスのドローリーフテーブルです。ドローリーフとは言葉どおり、「端を引っ張り出して」サイズを伸ばせる、とても使い勝手のいいものなのです。
普段は写真のサイズ(90×90cm)で使っていますが、友人が大勢でご飯を食べに来てくれるときには、両サイドを伸ばします。そうしますと長さ150cmの長方形に変身します。

イギリス家具らしい質実剛健さで、購入してから21年、創られてから80年たった今でもびくともしません。わたしの子どもはもちろん孫まで軽く使えそうです(孫っていまは想像もできないけれど)。
当時は、まだTVで骨董番組が放送される前だったので、こんな立派な家具が9万円ほどで買えました。いまはもっと高くなってしまたんだろうなあ。

あら、思い出話が長くなってしまいました。まるでバアさまみたいですねえ。てへ。
そう、やおらアンティークファニチャー用ワックスを取り出したところから話は始まるのでした。
きれいに水拭きと乾拭きをしたあと、木綿の布裂に茶色いワックスを取り天板全体に薄く塗り込んでいきました(冒頭の写真)。ちなみに、塗る前のひどい状態の写真はありません。やりだしてから、そうだ写真に撮っておこう、と思いつくものですから。はあ。

ひととおり塗り込んだら、今度は、塗装が剥げて生の色が出てしまったところへ重ね塗りをします。
しばらく乾かしてまた全体に塗り重ね、そのあとネルの布で余分のワックスを取りつつ艶を出すように磨きました(下の写真)。

ふっ。

艶は出たね。けれど、塗装が剥げちゃったところは、やっぱりなんとな~く色がのった程度ですね。これはプロのメンテナンスに出さなくちゃ直りませんわ。しかたない。

よくやったよくやった。
じつは、薬の副作用で関節と筋肉がちょいと弱っちまって、腕にきっちり力が入らないのです。
その割にはよくやったぜ、と自分を褒めるわたしであった(笑)。

山村教室名誉塾長の作家・森村誠一先生は、「文章と女性はメンテナンスが命!」とよくおっしゃいます。
「女性は」は、先生お得意のジョークですが、文章は書けば書くほど、また推敲すればするほどクオリティーが高くなるのは間違いありません。
あ、女性もそうか。ただのジョークではないですね。

日々の暮らしもそのとおりだと思います。
きちんきちんとしておけば、いつも気持ちよくいられる。道具は壊れずに役に立ってくれる。
やってみればたいした労力ではないのに、気忙しさに取り紛れているうちに修復不可能にならないようにしたいものです。
よく仕事をし、人のためにも働き、かつ遊び、それなのにふんわりとした余裕があってきちんとしている人がときどきいます。
そんな人を心底、尊敬します。憧れます。
そんな人になりたいと思います。

そりゃ、アンタには無理だ、という声が聞こえます。はっきり聞こえました!
で、でも、憧れながら、ほんのぽっちりとずつでも努力をしていれば、もしかしたら近づけるかもしれないじゃないですか!
ま、長~い目で見守ってやってくださいまし。
ああ、気持ちよかった。ほっ。

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