指導にあたって

主任講師 山口十八良

小説はさまざまな感動や興奮を与えてくれる夢の宝庫だ。心を揺さぶり動かしてくれるこうした作品を仕事として、そして担当作家の作品であれば「いの一番」 に読める。文芸編集者としての役得であり、最大の喜びはここにある。山村正夫先生の担当編集者であった私が、手伝いとしてこの教室に関わって何年になるだ ろうか。

以前、山村先生を祝う会で、森村誠一名誉塾長が「山村さんは我々実作家にとって港である。疲れた時、スランプの時、ぶらりと訪 ねて話し込み、回復のヒントをもらい新しい船出をしていく」とスピーチをなさったのが印象的だった。続けて「その上に新人作家の育成にも情熱を注がれる。 この時間をご自分の実作にあてれば、どれほどの名作を世に問えたかもしれない」。推理文壇の隆盛を願う山村先生の熱意にははかりしれないものがあった。

山村先生が病を得て亡くなった後、森村先生の大きな力をお借りし、OB作家各氏、そしてボランティアとして協力を惜しまない担当編集者、幹事の努力で教室 の再開が始まった。先生の衣鉢を継いで、一人でも多くのエンターティメント作家を輩出しようというのが唯一の願いであり、目的である。またここに、この教 室の存在意義がある。

私は文芸編集者としてイン・プットしてきたさまざまなノウハウを受講生各位に伝えたい。作家と編集者、この二本の 柱が当教室の特徴である。このメリットを十分に吸収して欲しい。小説好きの梁山泊でありたい。言葉と切り結び、書くことの鬼になり、夢を紡ぐ時間に我を忘 れる人たちの道場でありたい。

これが山村先生の遺志に命を与え続け、エンターティメント小説の世界を活性化させることに繋がる。

出でよ! 読者を仰天させる才能!
この思いに応えてくれる人たちと語り合っていきたい。

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