「作家になるための絶対的な傾向と対策はないが、作家志望者はいつの日か、我が作品世界に多数の読者を招きたいという野望と、自分の才能に対する自 信と不安を持っている。自分の才能を認めてくれない世間は馬鹿だという壮大な自信と共に、もしかしたら自分はとんでもない勘ちがいをしているのではないかという不安が同居している。カルチャースクールや小説教室に通うのも、自分の不安をなだめるためである。また同好の士と切磋琢磨することによって、たがいにインスパイアし合う。小説を書くのはだれの力も借りない自分独りの作業であるが、外部(他人の作品や同好の士など)から刺激やヒントやパワーを受けることが大いにある」
作家生活40年を超えても作品を発表し続ける森村誠一が送る作家志望者へのエッセイをご覧下さい。