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★受講生が発信する、山村教室の紹介記事です。書き手はキビナゴ初陽の2人で不定期連載


お久しぶりです。山村教室広報担当の庵地初陽(あんじ はつひ)です。日を追うごとに肌寒くなり、本格的な秋の訪れを感じますね。
さて今日は、小説の創作には欠かせないプロットについて、お話しいたします!

このホームページの中のお隣りの受講生の声「キビナゴレポート」でキビナゴさんが以前、触れていらっしゃいましたが(詳しくは、2014年5月24日 「プロット研究会は物語の整骨院なのだ」をご覧ください)、山村教室では普段の講義とは別に、プロット研究会というプロット作りに特化した勉強会があります。

また、講義の前には予約制でゼロ次会が催されています。これは少人数で山口先生のご指導を受ける場なので、そこでテキスト作品とは別に、プロットを提出して先生に見ていただくこともできます。

わたしの場合、山村教室に入る以前は小説の書き方もよく解っていませんでした。なんとなくもやっとしたイメージを「ひらめき」だと思って書きはじめ、独りよがりな文章で、紙を文字で埋めて……それで小説を書いた気になっていたんですね。

山村教室に入り、先輩方のレベルの高さに怖くなるとともに、いかに自分がテキトーに書いているかを実感しました。

わたしは、山村教室に入るまでは、一読者としてプロの作家の小説を読み、誰にも見せずに自分一人で作品を書いてきました。プロの作品は、例えれば大型豪華客船。安定した大型船はしっかりと計算された地図の上を走り、とても快適です。作品の海原に身を委ねれば、目的地である「読了」まで一文の隙もなく、船旅を楽しむことができます。

それに比べ、わたしの作品は……まるで笹舟です。あっちに行ったり、こっちに行ったり。読了どころか、途中で航路を見失ったり……。でもそれはプロとアマの違いなので、巷に売られている小説と自分の作品を比べるつもりなんて、毛頭ありませんでした。

ところが、山村教室に入って実感したんですね。周りの先輩たちはすでに客船を整備し、航海のために操舵の技術を磨いているんですよ。ひゃーっ! いつまでも、笹舟に乗っていちゃダメだ! と思いました。

いきなり大海原は無理でも、海水浴のゴムボートくらいにはなりたいなあ。砂浜までバタ足で泳いで帰れる程度の距離で、海に浮いて。潮に流されても、陸を目指せるくらいの技術はほしいし。

それでまず小説の骨組み、海図を勉強せねばと思い、プロット研究会に参加したのです。

プロット研究会では、たとえばこんな感じでプロットに制約が設けられています。
次の(1)~(5)を書いたプロットを提出します。
(1)タイトル
(2)小説のジャンルと、テーマ(簡潔に)
(3)想定枚数
(4)主要登場人物(4~5人)の簡単なリスト
(5)序破急、起承転結などを立てて、ストーリーを最後まで完結させたプロット(1400字以内)

その後配信される当日の参加全員、約20名分のプロットを事前に読んでコメントをつけ、幹事に提出しておきます。当日は、先生のご講評とともに、受講生の意見も発表されるんですね。

先輩方のプロットを見て、うちのめされました。あらすじと登場人物の紹介だけなのに、すでに面白いんです。「早く作品にして! お願いっ!」とご本人に直談判したくなるようなプロットもありました。

プロットは完成された小説とは異なり、作品を書くための言わば地図。無駄なことや回りくどい表現は排除されます。その分、話の構成の巧みさ、構想の面白さ、登場人物の個性などがダイレクトに伝わってくるんですね。

先輩方のプロットは皆、起伏に富み、話に動きがあります。それに比べて、わたしのプロットは……。

……メモでした。

コピー用紙にプリントアウトするなんてもったいない。付箋に書いてろ! って感じです。それでも山口先生は丁寧にご指導くださり、さらに参加者全員にこうお話しくださいました。

「今回指摘されたことを咀嚼して、書き直して提出したら、もう一度見ますよ」

ああ、なんてありがたい。「よーし! ちゃんとプロット書き直すぞ!」と思いました。

もちろん、一生懸命書き直して提出いたしましたよ。もう「メモ」じゃない! きちんとプロットの形になっています。それをいそいそと先生に送りました。初陽丸、ついに出航です!

そして、その後のゼロ次会で、山口先生から再びご指導を受けることに。

「庵地さん……。この作品、プロットが書けていないですね」と先生。

へっ? 説明不足がないよう、びっしり書いたのに?? わたし、ポカーンですよ。

「原稿用紙30枚の短編で、プロット原稿用紙5枚は長すぎます」

がーん! わたしは勘違いしていました。細かくプロットを書いたと言えば聞こえがいいんですが、それは、作品のエッセンスを上手くまとめることができていない……。すなわち、作品のポイント、何を読ませたいかがはっきりしていないということなのでした。

その上、素材がよくない、登場人物にリアルな動きがないと、ダメ出しは続きます。
ゼロ次会が終わる頃には、初陽丸、転覆です。

ゴムボートはおろか、とんだ泥舟でした。
誰か! 救命ボートを!

船を操って目的地にたどり着くには、海図が重要。
海図を描くことによって、物語が具体的な形を持つようになります。それが身にしみました。早く地図(プロット)が書けるようになりたいなあ。

でもそれだけじゃあ、だめなんですね。帆の張り方、舵の取り方、覚えることは山ほどありそうです。

よーし! がんばるぞぉー! 未知の海原に、今日も出航です!
小説王に、俺はなるっ!(でも、今は泥舟)

せめて、イカダに乗りたいです~!
See you next time!