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世の中に たえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし

桜の季節になると毎年この歌を思い出す。
在原業平、でしたっけ。
21世紀の今の世の中にあっても「桜の開花宣言」だの「桜前線北上中」だのと公共の電波を使って騒ぐ日本人、長年桜を愛でてきた結果、それがジパング的遺伝子の中に組み込まれてしまったのかもしれない。
J-POPでも桜を歌ったものってヒット率高いものね。
桜、かほどもニッポンジンの心に食い込んでしまっているお前たちは偉大だよ。

写真は外堀公園の桜。
私は月並みな日本人なので、桜だぁ、桜だぁ、と浮かれ騒ぎ、お弁当なんぞを作ってそぞろ歩いてきたわけなのであります。
←参考画像 お弁当

貸しボート屋があったので、手漕ぎボートに乗り込んで水面から桜を鑑賞する。お弁当食べながら。
まるで平安貴族の舟遊びのようでないの。風情あるでないの。
惜しむらくはお堀が少しドブ臭いということだけだ。
それでも桜の浮世離れした、ちょっと狂気めいてすらいる美しさ、妖しさは色あせない。

この週末、花見にかこつけて宴会予定の方々もたくさんいるかと思うけども、桜の妖気にあてられてとことん馬鹿になってしまえばいいと思う。
折りしも今日は四月バカの日。
どんな人間もたまにゃバカにならなきやいけないんだ。
そのためにこんなふうにちょくちょく、バカになる機会を作ってあるんだね。
ほら、この美しさに狂ってしまえばいい。

坂井希久子

2008年オール讀物新人賞受賞。小説家の端くれのそのまた端くれ。
翼広げて大空にはばたくぞ! と言いつつ、まだたまごには「ひび」くらいしか入っておりません。
それでも、小説が好き。あと、着物も好き。
どちらも奥が深いことでございます。
死ぬまでには、真髄にちょこっとばかし触れたいな。

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