さて、先日の山村教室で、第一期のテキストをいただいた。
一年を四期に分けて、一期ごとに提出された受講生の作品をまとめてテキストにし、それを講師の先生や作家の先生や現役の編集者に講評していただく、それが山村教室のスタイル。

私は2004年4月に山村教室の門を叩いたのだけども、まだ一度もこの作品提出を怠ったことはない。
というのも私は関西人、決して豊かではない家計をやりくりして受講料払ってんだから、元取らなきゃ! と思ってしまうのだよ。
もちろん山村教室はお金に換算しがたいくらいの収穫を私にもたらしてくれている。
だけども作品を提出しなかったら、今期私の作品がないというだけでなんとなく気がゆるみそうなのだ。
それだけプロの目で講評いただく、あるいは他の人に読んでもらう、というのはピンとした緊張感がある、それがいい。たまらなくいい。
だから山村教室の皆さん、あまり出してない人も今後は頑張って出しましょうね!
酷評されてなんぼだぜ。不屈の闘志でいくぜ。燃え上がれ私のコスモ[:!:]

新しいテキストをいただくとなんだかとってもウキウキする。
真新しいテキストを開けてまずは目次を眺めるのが好き。
誰がどんなものを書いているのか、タイトルから想像してみたりする。
それから密かにファン視している方の作品を先に読み始めるのです。

でも実は、真っ先に読むのは自分の作品だったりします。
ビバ! 自分好き!
と、いうわけではないのだけども、執筆最中にパソコンの画面上で読むのとプリントアウトしたものを読むのと、こうしてテキストとして活字化されたものを読むとでは同じ作品でもずいぶん印象が変わってくるのだ。
ほら、単行本と文庫本では同じ内容でも何となく違う感じしないかな。行数桁数の問題や余白と文字のバランスや、そういったものが変わるだけなんだけどもね、でもその違いが意外に大きいと思う。

今回の私の作品は「凸凹――デコ・ボコ」というタイトル。
内容はともかく、タイトルは最高だ! と、自分では思っている。
なにせタイトルは重要だ。多くの作家や編集者が言うまでもなく、皆自分自身でそれを身をもって分かってるはずだ。
だって店頭に並んでる本、タイトル買いすることあるでしょ。
テキストにしたって、目次に目を通して惹かれたタイトルから読んでいったりするのだから。

タイトル付け、前は苦手で好きじゃなかった。
だけどもタイトルはいちごのショートケーキでいうと、まさにてっぺんに乗っている一粒のいちごみたいなもの。ショートケーキの顔である。
ジュース用に回したほうがいいような潰れいちごや、固くて小さいのや、まだ青いのや、虫食いや痛みのあるいちごが乗っていたら、クリームやスポンジがいくら舌がとろけるほど旨くっても誰も選んでくれない。
ショーケースから取ってもらえるように、とびっきり大きくて赤くてつややかな、OH!とちおとめ! みたいないちごをででん、と乗せてやりたいじゃないか、生みの親としては[:ケーキ:]

だから、いいタイトルを付けるコツってないかなぁ、って考えみた。
で、確立した方法がコレ。
まず真っ白な紙に作品のキーワードを思いつくだけだぁぁぁぁっと書き出してみる。どんなくだらないことでもいいから、形容詞だろうが動詞だろうが名詞だろうが、とにかく思いつく限り書く。
で、そのキーワード同士をパズルみたいに組み合わせたり足したり掛けたり引いたりしてこねくり回す。
そうこうするうちにオォ、これは! と思うようなタイトルが出来上がるのだ。
……うまくいけば、ね。

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タイトル付けって難しいよね、確かに。
私も苦労してます。っていうか、後付はだめだ!
自分でもブログを書いていて思うのですが、タイトルは前につけたほうが、かっこいいのができる。
ねえさんが言うとおり、ジャケ買いならぬ、タイトル興味引かれ、は大いにあると思うので、良い感じのタイトルを思いついたら取っとくことにしようっと。

あら、私は短編は後付けしちゃうよ。
無計画なので書きあがるまで全体像が分からん。
人それぞれだねぇ。

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坂井希久子

2008年オール讀物新人賞受賞。小説家の端くれのそのまた端くれ。
翼広げて大空にはばたくぞ! と言いつつ、まだたまごには「ひび」くらいしか入っておりません。
それでも、小説が好き。あと、着物も好き。
どちらも奥が深いことでございます。
死ぬまでには、真髄にちょこっとばかし触れたいな。

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