編集者からの電話の、「もしもし」の一言でもう結果が分かった。
こんな声音で受賞の喜びを伝える人もいないだろう。
むしろこちらの方が「いえいえ、私は大丈夫ですからそんなお気遣いなく」と慰めてしまいたくなるような声だったのだもの。
うぅん、駄目だったか。残念だなぁ。
残念、とは思うけどもショックではない。
受賞してようがしてまいが、書き続けていくということに変わりはないんだもの。
悔しい、とかいう感情もあんまりないみたいだ。
そうだなぁ、今の心境としては、祭りの後、みたいな。
ワッショイワッショイって盛り上がってたのが一気に平常心になって、フラットな状態に戻っただけだというのになんとなくスーンとしたもの寂しい気持ちになってる。
そんな感じ。
初めてまともなものを書いて応募した時に、一次にすら通らなかったことの方が悔しかったかもしれない。
それから三年、最終候補レベルになったことが、今回ので分かった。
それが最大の収穫。
間違いなく自分は成長してる、だったら次は、って、すんなり次へと頭を切り替えられそうだ。
そもそも短編の新人賞は、二作目以降がまったく載せてもらえずに消えていく人が相当多いといいます。
仮に今回私が受賞していても、そういう運命を辿っていたかもしれない。
人を思わずうならせる二作目を書く実力がまだない、そう判断した小説の神様が私の受賞を阻止したに違いない。
もっと力を蓄えろということなのだろう。
よぅし!
もし新人賞の受賞そのものが目標ならいいんだけどもね、私のゴールはそこに設定してないのよ。
こんなこと書くとまた生意気だと思われるんだろうけど、ひとつの通過点だから。
「スーパーマリオ」の一面の偽クッパみたいなもんでさ、ピーチ姫にはほど遠い。
(ちなみに私はファミコン以降のゲームに手を出していないので、例えが古いのだ)
二面、三面がクリアできるくらいの力をつけてから、偽クッパをひょいと捻ってやるのだ!
もちろんいつまでも一面に手こずってちゃだめだから、頑張って急成長しないと。
落ち込んでる暇はないぜ、オイラは忙しい!
首洗って待ってろよ、一面クッパ!!
何だか平常に戻っていた血が、またふつふつ言い出してきちゃいました。
あぁどうしよう、私って、自分が思ってる以上にバカなのかもしれない。
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