すっかり書くのが遅くなってしまいましたが、先月「第87回オール讀物新人賞」の発表がありました。
受賞された奥山さん、島崎さん、まことにおめでとうございます。

奥山さんの「平家蟹異聞」は、文章がとても美しかった。そのために独特の異様な世界に引き込まれて、登場人物たちと同じ空気を吸わされてしまいました。

島崎さんの「飛べないシーソー」、登場人物たちの行き場のない感が描かれているのに、窮屈な閉塞感には包まれていない。エビを食い逃げする生き生きとしたエピソード描写などがそれをなしえているのだと思った。
やはりお二方ともすごい力量でありました。

私は二年連続最終候補に残っておきながら落選という悲しい結果に終わってしまいましたが、選評を読む限り、去年よりは進歩しているようです。
今後の課題がよく分かる選評をしていただきました。

物語の「芯」を作り上げること。
これは重松清さんの表現だけども、伊集院静さんも異口同音のことを仰っていました。
きっと他の選考委員の方の選評も、「芯」の足りなさについて言っていると思う。
ああでもこれって、「山村教室」の山口講師にもいつも言われていることだ!

上手くはあるけど、作者の「どうしてもこれが言いたかった!」というものが感じられない、それを見つけなさい。
そういう揺るぎない芯を、ちゃんと持たなければ。

先月28日は山村教室の日でしたが、私の精神世界の滋養の源である山ごもりの日だったのでそちらに行きました。
そしてそこで見つけちゃった、書きたいもの。
絶対絶対、伝えたいもの。
よし、あとはそれをどう上手く表現してくかだな。
次こそは三度目の正直だ、絶対受賞してやる!!!

と、意気込んでいたのだけども、次回の募集要項を見てみたら、ら、来年の6月が締め切り??
どうやら推理の方と一本化されてしまったようで、今年の募集はないようだ。
なんてこったぃ!!
貴重な短編の賞であることには変わりないのだが、ノンジャンルの賞になってしまった。
競争率さらに増えそう!!

でもまぁ私は私のやるべきことをコツコツやってくしかないしな。
ハードルがより高くなったんなら、それを飛び越えられる脚力を身に付ければいいだけのことだ。
強くなるぞ!!

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まぁ、デザインが一新されてる!キノコがいっぱい!
マリオのヒゲオヤジはいないんですね。まぁ、どうでもいいですけれど……。

kikuさん、結構色んな新人賞で最終選考まで残っていませんか?私はそういうイメージがあるのですが。
何度も賞とりかけて涙をのむ、なんて、下積み時代っぽいですね。そういう時代があるのっていいと思います。
苦労しといたほうが、自力もつくだろうし、色んなことに我慢強くなるだろうし。「あ、この人また新人賞の最終選考に残ってる〜」って名前覚えられるかもしれませんし。

山村教室の賞、例え内輪のものであっても全国区の雑誌に載っちゃうんですから、kikuさんには全国レベルの実力がもう備わっているということだと思います。
だから新人賞獲れると、私も信じてます。

とりあえず、私もオール讀物チェックします。

はい、初夏なので爽やかな色彩にしてみました。
でも自分で変更しといて、今開いてみてちょっとびくっとしてたりして(笑)
息の長い作家さんたちは、実は下積み時代も長かったりするんですよね。だから今のこの時期もきっと近い未来に大きな意味を持つことだろうと思ってますよ。
文藝春秋の方にはきっと名前を覚えていただけてる(ハズ)なので、何度でもぶつかっていきます!

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坂井希久子

2008年オール讀物新人賞受賞。小説家の端くれのそのまた端くれ。
翼広げて大空にはばたくぞ! と言いつつ、まだたまごには「ひび」くらいしか入っておりません。
それでも、小説が好き。あと、着物も好き。
どちらも奥が深いことでございます。
死ぬまでには、真髄にちょこっとばかし触れたいな。

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