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10日土曜日はまたまた山村教室。
イレギュラーに三週連続だったので、講評及び二次会の出席率は低め。
でも個々のソウルのボルテージは高いぜ!!
そしてその日の講評作品も、おおむねレベルがものすごく高かった!!!!

受講生Mとも話してたんだ。レベル高い! 引きが強くてぐいぐい読んでしまう! って。
落ち込みそうです……。
いや、落ち込んでる暇があったら書け! 書くんだ、kiku〜!!!!!

さて、一人あしたのジョーごっこが終わったところで、二次会の話題にも出てたけども、来期の原稿締め切りまであと一ヶ月を切りました。
もうすでに原稿を提出された方もいるようで、うふふ、すごいですね。
私は20日からエジプトに飛び、今月いっぱい遊んでくる予定。
ついさっき「書け、書くんだ」と一人遊びしたばかりだが、今のところ頭だけ一足お先にとかの地に飛んでしまい、ワタクシは完全に腑抜けです。

ははは〜。困った困った。
帰国してからの9日間で書くしかないな、こりゃ。
まぁ5、60枚の短編なら4日もあれば書けるだろう。
構想すらまだ決まってませんが……。

そうだ、エジプトでいい素材を拾ってくればいいんだわ!
なんてぇのはあくまで言い訳です。
後で地獄を見るのは分かっていつつも、思う存分遊んで来てやるのだ!

昨日2月3日は節分。
もちろん恵方巻きを食べました。
えぇ、関西人ですから。最近は関東にもすっかり馴染みましたね、この風習。ファミリーマートでは寒空の下店頭販売しておりました。
今年の恵方は北北西。ひたすら無言で食べる。
さて、厄が落ちたところで山村教室へ。

拙作も講評対象でありました。
物語の山場(の、ようなもの)が後半にばかり偏りすぎて、前半がグダグダだなぁ、と我ながら思っていたのですが、やはり指摘されました。
分かってんなら提出前に直せよ、という話なのですが、自分でどう直していいか分からなかったのです。
淡々とした感じの話にしたかったので、あまりエピソードを盛り込んで物語のうねりをつけるのは好ましくないしどうしよう、とね。
きっと山口講師はここをアドバイスしてくれるに違いないからそれを聞いてから直そうと思っていたのだ。

いやはや毎度ながら的確なアドバイスありがとうございますっ!
そっか、ここで二転三転させて、とか話の山を一つ作って、というのは別にエピソードを転がせということではないのですね。それを心理で見せていいわけですね。
おおなんだか大収穫。大漁旗が私の頭上ではためいておる! 恵方巻きのご利益か!
これで作品自体も実り豊かなものになればよいのだが。いや、してみせるぞ!

二次会ではすっかり浮かれて色んな人に「真っ赤だよ」と指摘されてしまいましたよ。
もともとお酒を飲むと顔に出るタイプですが、特にのぼせ上がってたようで……。
ある方とお話をしていて、「坂井さんは次(プロとして)出れるんじゃない」というお世辞を間に受け、「ええ、出れない気がしないから出ますよ」と断言してドン引きされておりました。
いやもうホントに不遜なヤツですみません。
でも実際出れない気がしないんですけどね。

どうも野性時代の締め切りが終わってからだらけ切っている。
二月末にエジプトに飛ぶつもりなので、その準備とか、次年度の第一期テキスト原稿をそのために前倒しで書き始めたりとか、しないといけないんですが……腑抜けてます。
パソコンもほとんど開いてませんでした。
だって13日の山村教室の記事だって書いてないし(汗)
いい加減、頭をスキッと切り替えないとね!!

10日に締め切りの終わった私、最後の5日間は午前6時に寝て午前9時に起きるというよく分からん生活をしていたので、もう眠くってしょうがなかった。
だったら解放されてすぐ寝ればよかったものを、「せっかく終わったのにもったいない!」とばかりに遊んでしまった。
だから13日の教室は眠くて眠くて……。
どんなに起きてようと頑張っても、上まぶたが下まぶたに求婚してしまう。そして見事にゴールイン!
後ろにいたお姉さまに、コクンコクン揺れてたねぇと言われてしまう体たらく。……バレバレでしたねぇ。

でも私に必要だと思われるアドバイスだけはちゃっかり聞いてたみたいで、ミミズののたくったような字でノートに書きつけてありました。
プロットを立てるのが苦手な私、最近ではもう立てるの諦めてます。
だって書き始めないと一切物語りが思い浮かばないんだもの……。
うん、でもチャートね、うん、それくらいはね、作らないと。
……善処します。

またもや、熱い夜だったねぇ。冬なのに、こんなに熱くていいのか! 北極の氷が解けちまうよ。
なにしろ16日土曜日の山村教室は、忘年座談会。講評には教室OBの新津きよみさんと鈴木輝一郎さん、それに名誉塾長の森村誠一さんが、ゲストとして来てくださったのだ。熱気が渦巻かないはずがないだろう!

すごいね、現役で活躍されてる作家さんが三人も壇上に!
その豪華さによっぽど舞い上がっていたのでしょう、今講義ノートを見返してみると、
「駄作を書き上げる勇気を持て!」と三行ぶち抜きで書いて、ぐりぐりと丸をしてあります。
これは鈴木輝一郎さんのお言葉。

そうだ、最近の私が忘れていたこと。書きながら「どうしよう、こんなじゃつまんないよな。どうしよう」と脅えてるところがある。それゆえになんかちんまりまとまったものができてしまう。それじゃあ誰の心も打てないよな。
こんなだから、「最初の頃の作品にあった、怖い者知らずなキレがこのところないよね」、と編集者Iさんに言われてしまうのだ。
「こんな駄作書けちまったぜ!」くらいの勢いで、思いっきり書き通す。長編をね。
サイコーにつまんない長編書いてやるぞ、チクショウめ!!

それと同じく三行ぶち抜きぐりぐり丸で、「沸点ぶち上げ!!」と書いてある。
これは私の言葉。
そこそこ上手い人は、書きたいことがたいしてなくてもさらりと読めるものが書けてしまう、という鈴木先生の話を受けて書いたようだ。
そうだね、これを伝えたい! これについて言いたい! いいから聞けよ読めよコノヤロウ! とガツンガツン行かないと、ただのイージーリーディングになってしまうよね。
ふつふつと表現欲をたぎらせるぜ。果てしなく沸点上げてくぜ。

くそぅ、もう私、文学中毒ですから! やめられませんから! まもなく2007年ですが、一層加速度上げて突き進みます!!!

二次会、三次会と盛り上がり、さらに私は編集者三人と鈴木先生と五人で四次会に突入! そんなことができるなんて怖い者知らずの為せる技です。
出版界の事情やら小説家の心得やら、叩き込んでいただきました!
貴重な時間、ありがとうございます!

こんなに恵まれた環境にいる私。あとは本当にもう、「う〜ん、こりゃすげぇ!」と人を唸らせることのできる作品を書くのみ。私次第。私の実力次第。
書いてる時は恐ろしく弱気になって不安になって、苦しくってしょうがない時もあるけども、それでも書かずいいられないんだからしょうがないじゃないか。
こうなったら絶対絶対絶対、世に出る! いや、出なおかしい!
ほら、いくぞ山村のみんな。声を合わせて!
「来年はプロになるぞーーーーーーーー!!!!!!」

破綻を恐れるな、弾けろ!!
嗚呼、熱い魂(と書いてソウルと読む)の持ち主だったぜ、北方謙三さん!!

書くのが遅くなってしまったが、9日の山村教室は、スペシャルゲスト、北方謙三さんがいらっしゃったのだ!
そして我が拙作の講評をしてくださったのだ!
山村教室以外じゃぁ考えられないですよ、こんなこと。

「北方さんは論客だから」と森村誠一先生が仰っていたように、的確なアドバイスをばんばん飛ばしてくれる。
全体的に、皆上手くてそれゆえ破綻がない。つまり、小さくまとまってしまってる傾向にある。
がつーんと弾けろ。something else を持って来い。

そうだなぁ、本当にそこだなぁ。自分独自のもの。これこそ私の文学だ!と言えるようなもの。
……また山籠りして内省してきます。自己をとことん見つめ直して来たいと思います。
あぁでも今の時期、寒いんだよなぁ。

お話を聞いていて、北方謙三という作家はお話を、ではなく人を、書く作家なのだとつくづく思った。
北方先生がふっと息を吹きかけると、登場人物が紙の上の文字ではなく、ちゃんと血も涙も汗の臭いも持ち合わせた人間として立ち上がって来る。

たとえば「水滸伝」、108人もの男達の、それぞれの息遣いをも感じられるほどの描写と人物造詣。なぜそんなことができるのかと問われれば、
「俺、あの108人が好きなんだよねぇ。だから今この時代に、蘇らせてやりたかったの」としみじみ呟く。やんちゃな少年みたいな目で。

泣きそうになった。
そうだ、私には登場人物に、血を、命を分け与えてやりたいと思ったことなどなかった。紙上をちょこまかと、私の考えた筋通りに動いてくれればそれでよかった。
こいつを書いてやりたい! という思いに衝き動かされる、それが北方謙三という作家の原動力か。
熱い、熱いぜ!

こんなところで泣いてたらキモチワルイ子に思われてしまうと思い、涙は必死にこらえた。
でも、感動は抑えられない! 頭より体でモノを考える私は、講義の後先生にハグしに行ってしまった。
一応、「ハグさせてもらっていいですか」と断ったよ。一応。
先生、苦笑いでしたけど。

作家としてかくありたいと思えるカッコイイ人。是非とも、また会いたい。
「次は文壇で、お会いしましょう!」
なんて大胆発言を現実にすべく、私は突き進むぞ!
飛ぶ、絶対飛んじゃる! 大空高くな!!!!!

坂井希久子

2008年オール讀物新人賞受賞。小説家の端くれのそのまた端くれ。
翼広げて大空にはばたくぞ! と言いつつ、まだたまごには「ひび」くらいしか入っておりません。
それでも、小説が好き。あと、着物も好き。
どちらも奥が深いことでございます。
死ぬまでには、真髄にちょこっとばかし触れたいな。

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